通貨の未来 2019 2 3

書名 米中 知られざる「仮想通貨」戦争の内幕
著者 伊藤 秀俊  松田 学  中村 宇利  宝島社

 米中貿易戦争は、アメリカの勝利で終わる。
しかし、それでは、終わらないでしょう。
次なる戦いは、暗号通貨(仮想通貨)でしょう。
 キャッシュレス社会と暗号通貨は、表裏一体の関係にあります。
アメリカと並ぶIT技術大国となった中国は、
ブロックチェーンの技術開発に余念がない。
 そうなると、思い出すのが、
石角完爾氏の本にあった「M-Pesa」のことです。
 舞台は、アフリカのケニアから始まる。
エムペサ(M-Pesa)とは、「M」がmobileのM、
「Pesa」がスワヒリ語のマネーのことで、
2007年にアフリカのケニアのモイ大学の学生が開発した、
携帯電話向けのソフトウェアで、
携帯電話だけで、
送金、貯蓄、支払いができるクリプト・カレンシー(暗号通貨)で、
銀行口座を持たないアフリカの人々に、
あっという間に広まった。
 この学生のソフトに目を付けたのが、
イギリスの携帯電話会社のボーダフォンだった。
 そして、ボーダフォンとケニアの携帯電話会社が組んで事業化して、
これにIBMが入ってきてソフトに磨きをかけて、
クリプト・カレンシーとして完成させたのが、2012年だった。
 現在、ケニアで1700万人、タンザニアで700万人、
その他ボーダフォンが活動するアフリカ諸国で利用者が広がっている。
 日本よりもデジタル通貨先進国になったアフリカ諸国では、
人々は、エムペサというデジタル通貨を各人の携帯電話に貯め込んでいる。
(以上の文章は、下記の本から引用しました。一部加筆してあります)
「ビットコインは『金貨』になる」 石角 完爾  朝日新聞出版
 アフリカ。
IT技術。
キャッシュレス社会。
ブロックチェーン。
どれもが中国と接点があります。
 これに、新興国ではよくある以下の条件が加わると、
暗号通貨の出番となるでしょう。
 固定電話の電話通信網が未発達のまま、
携帯電話の時代になった。
 偽札が多いから、
国民が自国通貨を信用していない。
 新興国は、ドルやユーロという基軸通貨の支配を逃れることができないでしょう。
しかし、IT技術の発達で、一発逆転の可能性が出てきたのです。
 もちろん、IMF(国際通貨基金)も「デジタル通貨」を考えているでしょう。
いや、そもそも、アメリカが「デジタル通貨」騒動の震源地かもしれません。
アメリカは、あちこちで実験を繰り返しているのかもしれません。
 さて、日本は、どうするのか。
固定電話の電話通信網は、高度に発達して、
偽札がないから、国民が現金を愛用する。
 これは、「20世紀の美徳」でしたが、
21世紀になると、レガシー(過去の遺産)となってしまうかもしれません。

決済革命 2018 9 9

書名 仮想通貨 金融革命の未来透視図
著者 吉田 繁治  ビジネス社

 最近、「Fintech」技術の進展により、
「決済革命」という言葉が使われるようになっていますが、
この本を読むと、本当の「決済革命」とは、
仮想通貨(暗号通貨)のことであると思いました。
 「実験通貨」かもしれない「ビットコイン」には、
さまざまな問題点があることがわかりました。
 そこで、そういう問題点を解消した、
「クリプト」という仮想通貨が登場したと仮定します。
ここでは、1クリプトは100円と仮定します。
 たとえば、あなたがインターネットで、
アクセサリーショップを開いていたとします。
 1個2,000円のアクセサリーが売れたとします。
お客は、代金をどうやって支払うか。
 2,000円をアクセサリーショップの口座に振り込むか。
これでは、「面倒くさい」と思う客が多いでしょう。
 さりとて、アクセサリーショップに、
クレジットカードの番号を教えるのも問題があるでしょう。
 ここで、仮想通貨があれば、問題は解決するのです。
双方がスマートフォンを持っていて、
支払いは「クリプト」でよいと了解すれば、
「20クリプト」を送信すれば、すぐに決済は終了するのです。
 もうひとつの決済革命は、外国との貿易です。
最近、日本では、チリ・ワインが人気ですが、
1本2,000円相当のワインをチリから買う時に、
代金は、どうやって支払うか。
 2,000円の日本円を受け取っても、
チリの人たちは、困ってしまいます。
 さりとて、日本で「チリ・ペソ」という通貨を用意しますか。
そういう通貨は、日本国内では調達できないでしょう。
 現状では、2,000円相当のドルを調達して、
国際コルレス銀行を経由して、チリの人たちに送金するのです。
 この送金方法では、何日もかかりますが、
ドルならば、チリの人たちは、受け取るでしょう。
 しかし、チリの人たちが、仮想通貨の「クリプト」でよいと言うならば、
スマートフォンで、チリに送信すれば、決済は終了します。
 しかしながら、多くの人たちは、こう言うでしょう。
「どこが発行したかわからない仮想通貨は、信用できない」
 その通り。
信用できないでしょう。
 しかし、政府が仮想通貨を発行したら、どうなるか。
世界には、劇的な変化が起こります。
 小国が大国に勝てる可能性があります。
たとえば、北欧のエストニア共和国が仮想通貨を発行する場合です。
おそらく、世界のマネーがエストニアに流れ込むかもしれません。
 ところで、相変わらず、「ビットコイン」という仮想通貨は、
誰が考えたのかという「犯人探し」が行われています。
 最近では、アメリカの国防総省であるとか、
アメリカの「ある機関」であるとか、いろいろな説があります。
 「ビットコイン」は、「ブロックチェーン」という仕組みの一部分に過ぎませんので、
このような広大なシステムを構想するのは、とても個人では無理です。
組織的な人材が不可欠です。
 どうして、アメリカだと疑われるのか。
基軸通貨であるドルを危うくする仮想通貨を、
なぜ、アメリカが考えたと疑われるのか。
 それは、金融危機や経済危機のたびに、
金融機関を救済するために巨額のドルを印刷した結果、
ドルの価値がひたすら減価していったというのが、
この50年の歴史です。
そこで、何か対策を考える必要があります。
 たとえば、日本円では、
昔は、1ドル360円だったのに、1ドル200円になり、
今では、1ドル100円になっています。
 日本銀行も、アメリカに対抗して大量に円を印刷しましたが、
それでも、ドルの減価を止められなかったのです。
 また金融危機や経済危機が発生したら、どうなるか。
1ドル50円は許容範囲かもしれませんが、
1ドル10円や1ドル1円は、容認できません。
そうなったら、日本がアメリカを丸ごと買収するでしょう。












































































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